嬉しいことに、今年は福島の三春滝桜の春を訪ねることができました。
滝桜のある三春は城下町で、伊達政宗の正室めご姫の町としても知られます。
町の名前の由来は三つの春が同時にやって来たから、と言われています。

三つとはうめ、もも、そしてさくらです。

現代ではなかなか三つの花が一度に咲く様を見る事はできません。
それでも、点在する桜はどれも見事で、桜めぐりの観光ツアーもあります。

郡山観光交通さんが作っている福島県内の「しだれ桜」番付表です。
春場所。たしかに。

しだれ桜のみで番付表を作る事ができるだけでもすごいのですが、
樹齢800年や400年といった古木が名を連ねます。
今回は4月末の朝早めから動いて、滝桜を含む三春、郡山界隈の桜を訪ねました。

「不動桜」樹齢400年。

不動明王をまつる不動堂の境内にあり、滝桜の子孫と考えられています。
左手には菜の花が満開で、そちらから見ると黄色と桜のコントラストが美しい。
私はこの写真の角度から見た雰囲気が好きです。

「地蔵桜」樹齢400年。

桜の下には地蔵堂があり、この樹も滝桜の子孫と言われています。
不動桜よりも樹形が大きく、腕を広げたような佇まい。
この写真が正面ですが、背後から見ると日差しの関係で空がもっと青く見え
コントラストで桜が際だち、より綺麗に見えました。

「福聚寺の桜」

お寺一帯に美しい桜が咲き誇ります。
背後には山の斜面墓地があり、春はその中を観光客が散策しています。

観光スポットにもなっている斜面墓地の上からの眺めです。
この日も、写真家らしき人達が三脚を使用して撮影していました。
正面奥には立派なしだれ桜が見えます。

・・・お墓ですのでこんな微笑ましい立て札もあります。

「仲森のしだれ桜」樹齢250年。

もう見事の一言。
まわりに何もないのと、地形的にかなり下から見上げる事になるため
圧倒的な存在感を放ちます。
立っているのは民家の庭先で、地元の人がちらほらと訪れていました。

最後に横綱「三春滝桜」。樹齢推定1000〜1200年。
樹齢については、中心が空洞で正確には分からないそうです。

これが一本桜なのですから、本当に驚きます。
全体が丘になっているため、遊歩道をゆっくり上り下りしながら
まったく表情を変える滝桜を楽しみました。

この辺りの桜には、彫刻を見るようなおもしろさがある気がします。
年季の入った一本桜を、まわり歩きながら様々なアングルから眺めると
樹形はもちろん、周囲の地形や風景も変化するため、見ていて飽きません。

どの桜も、違う樹に見えるくらい表情を変えてくれます。
千鳥ヶ淵等のシークエンスとして感じる桜並木とは、また違った魅力と言えます。
本当に良い花見になりました。また来年も楽しみです。

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