お便り
水曜日, 4月 17th, 2013昨年2012年の3月に竣工した「板橋の平屋」の御主人から、写真つきのお便りが届きました。
添えられた言葉は「きれいに咲いています。」
芝桜です。
元々お祖父様の家が建っていた頃から、この地には庭一面に芝桜が敷き詰められていました。
この家は、雨のしたたりを楽しむという考えかたから大きく軒をはね出し、軒樋をつけずに雨落ち部分に砂利を敷いています。
芝桜はその軒下、砂利敷の横に植えられたものです。
家に守られながら、その足元にそっと寄り添っています。
同じく、昔からこの地に根を張り秋にはびっしりと実をつける柿木も、とても青々として元気そうです。
こうして見ると、なんだか柿木が家を守ってくれている様にも見えます。
建築雑誌等では完成間もない写真が掲載される事も多いですが、建築がその地に本当に根付いていれば、時間の経過と共にその空間はより一層魅力的なものになって行くと思っています。
この板橋の平屋では、インテリアでもお祖父様の家で使われていた木製扉や照明を再利用しています。
それは、再利用=正義というものではなく、御主人の「絶対ではないですが、使えるものがあれば」という言葉があったからです。
そして、色々なところに散りばめられた思い出や面影といったちょっとした要素が、この家に暮らす御家族にはとても大事な物だと感じました。
このようなお便りは、私にとって何よりの元気づけになります。
これでまた明日から頑張れます。