実家

これは実家。

・・・とは言っても、隣町に暮らしていた自分にとっては「祖父母の家」で、
昔は遊びに行くという感覚でした。
山の中腹に建ち、線路から見上げると大きな屋根が印象的。

父いわく、築190年〜200年の建物らしい。
トタンの下には茅葺き屋根が残っているとの事。
元々農家だった家を祖父母が購入し、改修した物が現在の姿という事です。

表にある便所

広い縁側

大学時代のワンルームより広い玄関土間や高い敷居

奥に行くにしたがって格式が上がる畳の間や居間の掘りごたつ

改修したとは言っても、基本的には農家の名残が色濃く残っています。
そんな中でも最も印象に残っているのが天井です。

古びた木の天井は経年変化で黒ずみ
その高さと相まって独特の奥行きを持っていました。

夜布団に入ると、昼間以上に天井が遠くにあるように感じ
闇の向こうにうっすらと見える天井の木目をじっと見ていると、
今にも動き出しそうで。

子供だった自分には、引きづり込まれるような
何とも言えない怖さがあったのを覚えています。

昨年のお盆に、もう祖父母のいない実家にふと立ち寄りました。

改めて見ると建物としての魅力とか迫力を感じます。
でも、観光で古民家とかを見る時とは違って
今でもそこには祖父母と自分がいて、建物を生活シーンの一部として感じられる。

これってちょっとすごい事なのかもなと思いました。
自分の思い出なんて、190歳の建物に刻まれた時間に比べたらほんのちょっと。
でもそのほんのちょっとが実は大事なのかもしれない。

築190年だからではなくて
生活シーンの延長上で、生きて使える居場所として
もう少しだけ長生きして欲しいなと、あれやこれや妄想しています。

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